180kmと2600m 後編 ~地獄の明神峠~
足柄峠を御殿場側に下った小山町のコンビニで休憩し、今度は明神峠に向かいます。
ショップ店長から聞いた事前情報だと
『足柄峠より距離は短いけど倍くらいキツいですよ。』
とのこと。
足柄峠でも勾配が10%を切ることがほぼ無いので、明神峠は終始12%くらいということなのだろうか?
もう一つ聞いていたことが
『1番勾配がキツいところで地面が⚪︎のボツボツのやつになりますよ

という情報。
ちなみにその付近は16%くらいの斜度らしい。
コンビニを出て明神峠に向かう脇道はすでに軽い登り。
足柄峠で受けたダメージとこれから待ち受ける激坂のことを考えて、足を温存しながら走ります。
アップダウンを繰り返しながら進むと山中湖と書かれた青看板があった。
もちろん山中湖方面へと進む。
後で知ったのだが、これをまっすぐ行くと籠坂峠から山中湖に向かう少し優しいルートらしい。
山中湖方面へ右折すると、目の前にエゲツない登りが現れる

勾配が8・・9・・10・・11・・あっという間に12%になった。
時速は一気に一桁になる。
12%前後の激坂が延々続き、キツいところでは時速6kmくらいまで落ちます。
頂上の見えない登りをすぐると2人無言で登ります。
無言というより、喋る余裕もないというのが正しかったかもしれません。
登り始めてすぐ〝山中湖まで6.6km〟という看板があったのですが、しばらくペダルを回し続けて出てきた看板が〝山中湖まで5km〟
ここですぐるが
『こんなに登ったのに1kmしか進んでませんよ

と弱気な発言。
『あーそうなの?勾配キツくてゆっくりだし、まぁそんなもんだべ。』
とちょっと強がってみます。
そのままゆっくりと上がって行くと
『あーもうダメだー

そう叫びながら少し左側に避けられる道ですぐるが足着き。
『腰が限界です・・・

そう言って地面に座り込むすぐる。
私も1度自転車から降りる。
頭痛がズキズキからガンガンに変わって私も疲労困憊。
『あ~このメット投げ捨てたい

足はまだ回るし心肺も問題無し。
しかし、ヘルメットのせいなのかなんなのか頭部の暑さと頭痛がハンパない。
腰が痛くてすぐるが止まったのに
『大丈夫ですか?顔色ヤバイですよ・・・』
と逆に心配される。
5分ほど休んですぐるは回復した様子。
私は回復する気配なし

『寿司屋さんが回復したら行きましょうか!』
とすぐるが気を利かせてくれますが
『回復してないけど行こう。』
と返します。
『大丈夫なんですか?』
と再びすぐるに聞かれますが
『大丈夫じゃないけど、回復しないと思うからこのまま行こう。』
と再出発。
すぐるは淡々と登りながらも明らかに様子のおかしい私が心配な様子。
それもそのはず、この時登っている峠は静岡県。
この先山梨県に入りそれから再び神奈川県まで戻らなければなりません。
時速一桁のままゆっくりと登って行くと勾配がさらにキツくなって行く。
12%ほどの勾配が14%に変わり2人とも蛇行しながら登って行きます。
勾配はさらにキツくなりGARMINの斜度の表示は16%。
そして現れた『下が⚪︎のボツボツゾーン』
ダンシングでなんとかクリアしようともがいていると、前方のすぐるが
『だーーーームリだーーー

と2度目の足着き。
ここで止まると再び自転車に乗り直すのは危険。
下が⚪︎ゾーンが終わるまで2人で自転車を押して上がります。
『すぐる、ここは降りたらダメだよ』
『いや、さすがに限界でした』
そんな会話をしながら下が⚪︎ゾーンを通過するとすぐるが
『ほら!アレ!ムリに決まってるでしょ

とキレ気味にあるモノを指差す。

この日唯一撮影した画像です。

勾配18%
おそらくここが明神峠で1番キツい区間でしょう。
この後も10~12%の勾配が続きますが、慣れとは恐ろしいもので10%前後の勾配では休めるようになってきます。
そして一桁台の速度で頂上の三国峠まで辿り着き道の端に2人で座り込む。
達成感というより、苦しみからやっと逃れられた。
という安堵感を感じながらここでも5分ほど休憩し、まだ雪の残る道をウィンドブレーカーを着て下ります。
この時点で私は激しい頭痛と吐き気に襲われながら走っていました。
下り始めてすぐ、山中湖が見え景色がとても綺麗でした。
頭痛でそれどころではありませんでしたが。。。
下りきったところでボトルが空だったので自販機で水を補充し、コーラをがぶ飲み。
したら、吐きそうになって半分くらいコーラを捨てる

すぐるがまた気を利かせて
『休憩しましょう。少し座った方がいいですよ。』
と休ませてくれますが状況は変わらず

時間的に休んでばかりもいられないので再び走り出します。
道志みち方面への分かれ道にあるコンビニで再び休憩。
もう休憩ばかりです。
さすがに何か食べないとエネルギー切れになりそうだったのですが、吐き気で何も食べる気が起こらずトイレに行っただけ。
ここでベンチに座りながらこの先のルートを確認する。
まだ60km以上はありそう。
頭痛も吐き気も酷くなる一方ですが、このままだと日が暮れてしまうのでヘロヘロになりながら出発。
あまりにも私がフラフラなので、すぐるにルートを伝え引いてもらいます。
私の方を何度も振り返りながら走るすぐるの姿がどんどん遠くなって行きます。
サイコンに目をやると、速度は17km。
走っている道は登りではない、ほぼ無風の平坦路。
さすがにヤバイと思ったのか、すぐるが前方で停車。
『あそこでもう少し休みましょう。』
と芝生のあるグラウンドを指差す。
私もさすがにこのまま走り続けることは不可能だと思い芝生に横になります。
この時点で時刻は15時を回っていました。
日没まではあまり時間がありません。
自宅まで60km近くある山の中で途方に暮れるすぐると動けない私。
無事に帰ることはできるのでしょうか?
(まあ、帰ったんですけどね)
長くなったのでまたまた次回に続きます。
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